いすゞ 自動車塗装日記

自動車塗装日記#79 基本を無視してみた

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いちころです。

 

自動車塗装をする上で、基本的に

『守らなければならないこと』『やらなければならないこと』

というものがあります。

足付けは細部までしっかりと行う、脱脂はしっかり行う、

パテは硬化剤をしっかりと混ぜる、など。

書き上げたらキリがありませんが、多少の違いはあれど、

こういったことを、どこの工場でもやっています。

 

ただ、長年塗装屋をやっていると、

『これって別にいらないんじゃないの?』

といったこともたまに出てきます。

 

今回は、そんな決まり事を無視した作業内容です。

今日の作業はコチラ

 

はい、いすゞエルフのアオリ(後ろ)とマッドガードの塗装です。

 

このお客様は社長の知り合いで、土建屋の方です。

このクルマも現場で使われているもので、ギャビンは綺麗なのですが

荷台の方は作業で酷使するので、ご覧のように傷だらけです。

以前もサビ落としで仕事を頂いたことがあるんですが、時に言われたのが、

『どうせすぐキズだらけになるから、ザーッとでエエぞ!』

ということ。

このアオリも、両端をL字の鉄骨で補強して、キズはそのままでいいから

色だけ掛けてくれと言われました。

凹み、サビは無視して良いと。そんな仕事です。

・・・・。ホンマにやるの?ってキズですよね。

凹みも相当ひどいです。

ただ一つ条件があって、ステッカーは全部残して置くように言われました。

余計な手間と金額を省くためですね。

そのまま塗れと言われていますが、いくらなんでもこのままでは流石にお金はもらえないので、

サビのひどい所や、研磨で消えそうなキズは補修していきます。

 

ウデが太く見えるのは、上着が大きいからです。( ー`дー´)キリッ

まずはダブルアクションの#80で研磨していきます。

トラックの塗装は基本クリヤーを掛けていないので柔らかいはず。

80番で一気にザザーって・・・行きません。あれ?硬いな。

平面ではなく、カドを使ってもそれほど削ることが出来ません。

何か、相当硬いです。

パワーならコッチのほうがありそうなので、次はギアアクションで行きます。

キュイーン、キュキュキュイーン・・・

 

・・・むぅ。削れるんですけどね。ペーパーが持たなさすぎる。

大体15センチくらいでペーパーが終わってしまいます。

こうこうなったら仕方ない、グラインダーや!

あまり使いたくなかったんですが、グラインダーで行きます。

 

ブオーン キュイイイイイイイン チリチリチリチリ

いたたたた、鉄粉飛んでくる。。・゚・(ノД`)

グラインダーは、鉄板まで軽く削れてすごく便利なんですが

その分削ったものを周囲に撒き散らします。

角度を間違えたら、研ぎカスが粉になって顔に飛んできたりしますからね。

作業着と上着を鉄粉でコーテングさせながら、削り込んでいきます。

それにしても硬い。普通、トラックの塗装の剥離で

こんなに硬いものはないんですが、このクルマは特に硬いです。

ちょっと手間がかかりました。

 

次にマッドガードです。

これはそんなにキズはないんですが、少しサビていたところがあって、

筆差しして終わりにしようということだったんですが、

それではちょっと具合が悪いということで、塗装することになりました。

ですので、キズというキズはなく、サビを研磨しておしまいです。

 

あんまり削ってないやんけ、という声が聞こえてきそうですが・・・。

これはそこまでキレイにする必要がないんで、とりあえずここまでで置きました。

(※本当は時間がかかりすぎて諦めた)

 

ここでいつもなら、パテの補修のときのようにサフェーサーを厚盛するところなんですが

ここでふと、あることを思いつきました。

 

『サフってトメ(隠蔽)なくても行けるんちゃうの?』

と。

通常、サフェーサーはパテや鉄板を隠蔽させるくらい乗せます。

それは、補修した部分を塗装しやすい肌にするという目的もあるし、

歪を抜くという目的もあります。

こうすることで、きれいな肌を作る事が出来るということは

十分すぎるくらい分かっているのですが、いつも疑問に思っていたことがあるんですよね。

 

それは、塗装屋の方なら分かると思うんですが、サフを削りすぎて

鉄板やパテが出てしまった箇所を、『ちょっとくらいならエエか』と

そのまま行ってしまうことってあるでしょ?

でも、案外不具合なくイケたりしますよね?

 

じゃあサフって、別に隠蔽させなくても行けるんちゃうの?と。

 

昔、坊主のころは、サフェーサーを塗って隠蔽出来てなかったら

ボロクソに怒られてましたけど、よくよく考えたら、なんで隠蔽させないといけないかは

教えてもらってなかったんですよね。

とめろ!と言われたからとめてたみたいな感じです。

 

確かに、塗装する色によってはサフェーサーの隠蔽は重要で

特に赤系なんかは、影響をモロに受けたりします。

でもそれは、サフが調色の1部になっている色だからであって

それ以外の色はサフの隠蔽は関係ないのでは?

関係あるというのなら、調色する時、すべての色で塗り板にサフを塗りますか?

おそらくは塗る人は少ないと思います。

 

僕はこれまで色んな塗装屋の人を見てきましたが、

サフを塗ってまで調色する人はいませんでした。

そもそもそこまでサフが重要なら、新品パーツにも

ベースに合ったサフを塗らないといけなくなりますからね。(隠蔽性の悪い色以外)

 

前置きはこれくらいにしておいて、今回は

・サフを隠蔽させない

・サフを研磨しない

という、やり方でやっていきます。

 

その前に、ボコボコですね・・。

でもこれは修復しなくていいと言われていたのでそのままで行きます。

 

足付け、脱脂した後、ステッカーの部分をマスキング。

一応カドに軽くプライマーを吹き、サフェーサーを乗せていきます。

今回のシンナー希釈は20%。

いつものパテの上に乗せるときが13%なのでかなり薄くなります。

でもこれは、ロックペイントの規定量で、通常はこの粘度が推奨されています。

 

で、写真は2回乗せた所です。

今回は、回数を乗せて膜厚を重ねていくやり方ではなく

薄く乗せて終わりなので、これでOK。

乾燥後、肌を触ってみると、ペーパーを当てなくても行ける肌になっていました。

ま、ブツは付いていたんですけどね・・。

ブツだけ取って、サフの研磨はナシ。

このままベースを乗せていきます。

 

 

はい。ベースを2回乗せ終わりました。

全くの普通。

一応ですが、電気を消してトマりを確認したところ

キレイに隠蔽出来ています。

同じ要領で3回目を乗せ、その後標準シンナーで希釈をし

肌調整を行いました。

指触乾燥後、クリヤーを乗せていきます。

 

はい。クリヤーを塗り終わりました。

・・・全く問題なし。

サフェーサーで鉄板やパテを隠蔽していなくても

塗膜が痩せることはありませんでした。

 

もちろんこれは白のように、隠蔽性の良い色だから出来ただけかもしれませんが

少なくとも、『サフェーサーで隠蔽していなければ不具合が出る』ということにはなりませんでした。

 

仕上がりとしても問題なかったので、これで塗装完成です。

 

まとめ

今回は、『サフェーサーは隠蔽させなければならないのか?』ということでやってきました。

結論から言えば、隠蔽させなくても、痩せたり、トマりが悪くなったりなど、

不具合が出ることはありませんでした。

 

そもそもサフを、膜厚を付けて塗るというのは

小キズやスアナ、わずかな歪みを埋めるというのが主な目的です。

 

そして、それらをサフを塗る前にしっかりと処理しておけば

サフは薄めでいいのではないか?というのが、今の僕の意見です。

 

今回はこのような傷物のパーツで試すことが出来ましたが

今後も、色々と検証し、技術の向上を目指していきます。

 

今日はここまで。

おつかれさまでした。(`・ω・´)ゞ

 

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