自動車塗装日記

自動車塗装日記#84 クルマの鏡面磨きの方法

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いちころです。

自動車塗装をすると、乾燥後に磨き作業を行います。

店によっては『ウチは磨きはしない』という所もありますが、

それはそれで、別の話なので今回は置いておきます。

 

磨きをする目的は、主にブツ取りと肌調整です。

まずブツ取りですが、クルマの塗装をすると、塗っている最中や乾燥中に

どうしてもブツ(ゴミ)が付いてしまいます。

そのブツを、色んな道具を使って落とし、磨いて肌を綺麗にします。

そして色を塗った場合、その塗料の粘度や塗装方法によって

肌の高さ(ラウンド)を調節出来るのですが、

塗ったパネルと、その隣のパネルの肌は微妙に違うことがあります。

この肌を磨き込んで隣のパネルと肌を同じにして、

塗ったことを分からなくします。

 

の塗膜(ラウンド)の高さは車によって違い、やたら高いものもあれば

ほとんどわからないくらい小さいものもあります。

それは、新しい車と年数の経ったクルマの違いもあるし、

車庫に保管してある、野ざらしにしている、

毎日乗る、休みに日しか乗らない。

といった、保管や使用方法の違いによっても変わってくるからです。

だからその車によって、色あい、塗膜の劣化具合が違うので

現車合わせが必要になってくるんですね。

 

今回は用途に合わせた3種類の磨きをやっていきます。

今日の作業はコチラ

 

先日塗装を終えた、プレマシーの左右のフェンダーとドアの磨きです。

このクルマの塗装、パット見はキレイに見えるんですが、実はちょこちょこブツが付いています。

そしてドアのラインの所も、普通に塗ったつもりなんですが、

やはり逆アールのところが、ザラつきはしていないんですが、やはり平面よりも肌が高く、

磨きだけで肌を調整するのは難しいくらいになっていました

やはりココロのどこかでビビってたんでしょうね。

タレタラオワリタレタラオワリタレタラオワリ

やっぱりビビっていたのかも知れません。

コレだけのラインですからね。

これで少しもなんとも思わないというのは、よっぽど自信があるのか、

それとも経験不足なのかどちらかでしょうね。

 

これを均一に磨くには、もうペーパーを当てるしかありません。

#3000のトレカットを用意し、ブツ取りと肌調整のために

肌の高いところを少しずつ、合わせたい肌をよく見ながら、少しづつ研いでいきます。

 

逆アールの磨きで難しいのは角に当たるという所です。

ここをナメていると、1発でカドを捲ってしまいます。

そして、カドを避けてあまりポリッシャーを立てて磨くと

今度はアールの中を削ってしまうことになるので、

そうならないために、ポリッシャーの当たる所を完璧に把握する必要があります。

一番の問題はココなので、ポリッシャーを当てる角度、動かす方向、回転数などを

しっかり確認して、絶対に失敗しないように注意しながら磨きます。

 

肝心の隣接パネルとの肌の違いですが、今回はほぼ合っていました。

少しコチラが高いくらいです。

しっかりと磨き込み、リアドアの半分くらいまでボカすように磨いていきます。

 

#2000→#3000、そして超極細の液体コンパウンドで仕上げ、外で確認します。

外に出して、バフ目が消せているかどうかしっかりと確認。

スムージングの歪みもしっかりと確認します。

最後に、細部のコンパウンドを拭き取り、エアブローをして完成です。

 

次の作業はコチラ

エルフのフロントパネルと、フロントのカバーの塗装です。

ウチでは度々、大型のトラックの塗装に仕事を頂くのですが、その中で

共通していることが、1つあります。それは

『フロントパネルは鏡面磨き』

ということです。

少しでも肌があると、「肌が高い!」と言われます。

その理由を聞いてみると、旧パーツの肌を見ると

ほとんど肌がないから同じにしろとのこと。

トラックの塗装というのは、白の場合、ベースのみで仕上げる塗装をしています。

クリヤーは塗っていません。

なので、ベースの塗膜がむき出しになっているため、

洗車などでゴシゴシ洗うと、それだけで肌が削れたりします。

そうなると、もちろん肌は低くなります。

この削れた肌を基準に見ているような感じですね。

ですが、フロントパネルにも肌はあるんですよ。

その証拠に、ドアやピラーには肌がしっかりとありますからね。

 

しかし、やれと言われている以上やるしかありません。

早速やっていきます。

 

まず鏡面磨き、鏡面仕上げをするには、下準備が大切です。

塗装するものの肌をココから落としておく必要があります。

今回は新品パネルを塗装するので、電着プライマー付いていますが

もし旧塗膜を塗装する場合は、この旧塗膜の肌を

キレイに落としておかなければなりません。

この一番下の肌が大切で、ここにラウンドがあると

上に乗せるベースは、このラウンドよりも高くなるのでしっかりと落とします。

 

白いパネルの方は、プラスチックで出来ているんですが、これには

サフのような、何かプライマーが乗っています。

ですが、得体が知れないものなので、念のためですがプライマーを塗っておきます。

 

エアブロー・脱脂をして早速塗っていきます。

1回目ベース。

シンナー希釈は標準50%、速乾50%の70%です。

少し希釈を多めにして、乾燥を遅らせるために標準シンナーを入れました。

こうすることによって、乾燥によるザラつきを抑え、ゆっくり乾かすことで

肌の伸びを狙うためです。

電着プライマーが下塗りの役目をして、1回目でそこそこ乗ったように見えますが

実際はスケスケです。

カバーの方は、まずはプライマーをダブルコートで乗せました。

 

染Qのプライマーは高性能なんですが、フラッシュオフタイムが確か20分とかだったと思います。

それだけ置いていると、塗ったものがネチャネチャするものなので、当然ブツが付きます。

その時点で取り除くことは出来ません。(取れば塗り直しになるので)

なので、僕はミッチャクロン(マルチ)を使っています。

染Qのようにネチャっとした接着剤のような感じはしませんが、すぐ乾き

ブツの付着を押さえることが出来ます。

当然プライマーとしての効果も十分にあり、その証拠に乾燥後のベースのプツ取りをしても

ポロポロと剥がれることはありません。

 

1回目のベースを指触乾燥させ、2回目を乗せていきます。

 

2回目。しっかりとウエットで乗せました。

その後に、セミウエットで1発乗せています。

今回狙っているのは、出来るだけラウンドの小さい、出来れば無いくらいの肌です。

 

肌が無いように塗るには、クリヤーをベタ塗りすればイケるのですが

それは美しくないので、僕はあんまりやりません。

なにも考えずに『クリヤーをたっぷり乗せました!』は素人仕事です。

厚めに乗せすぎると、それだけ乾燥・硬化に時間がかかり

硬化不良などの無具合を起こす可能性があります。

 

自分の塗装方法で仕上げていきます。

 

標準シンナーを入れているために、乾燥させるのには時間がかかるんですが、

その分塗料の乾燥によるザラつきがありません。

そしてウエットで塗ったため、膜厚が付き、いい感じで肌が伸びています。

今の状態で、電着プライマーと同じか、ちょっと高いくらいです。

この時点でしっかり隠蔽しているので、乾燥後、ブツ取りを兼ねて

全体を#1200で当て、肌を落としていきます。

 

ベースを削り落とさないように、ブツの除去をして、

3回目を乗せます。

 

3回目乗せ終わりました。

投光機で、さっき当てたペーパー目を隠蔽しているかを確認。

キッチリと隠蔽出来ていました。

 

次に肌調整です。

メタリック塗装の時に、ムラ取りをするあのやり方を今回行います。

僕的に、メタリックのムラ取りは、塗膜の肌の調節も兼ねているので

今回も同じことをやって、さらに目を細かくするのが狙いです。

 

標準シンナーを10%ほど追加し、吐出量はそのままで

空気圧を2.0から1.5に落とし、ドロップで乗せていきます。

 

肌をしっかりと確認し、Okだったので、次はクリヤーを乗せていきます。

 

 

クリヤーを乗せ終わりました。

磨きを考えて、3回塗りです。

この時点では、流石に肌はありますね。

何か、小細工したのにクリヤーで肌が出たら一緒やんけと言われてるようです。

ですがこれは3回塗り。膜厚がかなり有ります。

シンナー希釈には、標準を30%入れているのでゆっくりと乾燥し、

肌を伸ばしていくのが狙いです。

 

昔はシンナー希釈を多くしてみたり、膜厚をもっと付けてベタ塗りのようなこともやりましたが、

結局納得できるような、納車出来るような仕上がりにはなりませんでした。

 

やはり、自分の塗り方で仕上げるのが1番です。

 

しっかりと乾燥させ、磨いていきます。

 

乾燥を終え、外に出してきました。

引っ掛けて塗ったので、ブツは少なめです。

肝心の肌ですが、いつもよりは細かくなっていますが、やはりありますね。

これを、#1500→#2000→#3000と順番にペーパーで落として行きます。

 

軽く#1500で当てました。

この、ペーパーを当てた中の黒い点々のようなものが肌の原因です。

ココは白い所(ペーパーを当てた所)よりも低くなっています。

これを、真ん中の白いところのようにペーパーで落としていく必要があるんですよ。

では早速やっていきます。

 

写真で見ると、当て残しがありますね。

でも、後できっちり落としたので大丈夫です。

端が残っていますが、ココはわざとです。

経験上、足付けのようにココまで落としてしまうと、今度はポリッシャーで磨く時に

カドを削り落としてしまう危険があります。

そんな危険を犯してまで、そこまで狙う必要はありません。

細部を磨く時はこのちびポリッシャーを使います。

どこの現場にもある便利なポリッシャーですよね。重宝します。

エアーツールなのでコンプレッサーが必要ですが、電動もあったような気がします。

ペーパーですが、僕は毎回トレカットを使っています。

硬いので、当て板にくっつけて磨くと、キレイに肌を落とし、ブツも取り除くことが出来ます。

 

ココからしっかりと磨き上げていきます。

 

 

ココでトラブル発生。ってほどでもないんですけど、

磨き終わって僕がトイレに行っている間に、上司がさっさと梱包をしてました。

なので、完成写真はコレしかありません。

 

フロントパネルに関しては、キレイに鏡面がでていてペーパ目もなし。

良い感じに仕上がりました。

カバーに関しては、これは鏡面に仕上げる必要はないので通常仕上げです。

 

梱包して、本日納品となりました。

 

続いての作業はコチラ

先日塗装したバモスの磨きです。

ルーフとフロントバンパーを塗装したんですが、磨きはボンネットも追加です。

 

このクルマは中古車ということもあり、安上げです。

安上げと言うのは、そのままの意味でコチラが貰う料金が安い仕事のことです。

これは、中古車によくあることなんですが、中古車は買ってくると

大体どこかにキズなり凹みがあります。

中古車屋は、現状販売を除いてクルマが売れれば直すんですが

その予算が決まっているために、安く上げてくれと言ってきます。

それが通称『中古車値』です。

僕らがその値で受けるのは、数があるのと、中古車値があるように

『中古車仕上げ』があるからです。

多少の色のズレなどはOK,歪みもそこまで神経質に抜くこともありません。

パット見が良ければOKな仕事です。

当然、よほどのことがないかぎりクレームもありません。

 

今回のバモスは、そんな仕事です。

では早速磨いていきます。

まず、ボディ全体に何か汚れが付着しています。

字が書けるくらいですね。

かなり硬いですが、磨けば何とかなりそうです。

エンブレムは、剥がした時に塗膜も一緒に少し剥がれたようです。

もうコレは仕方がないので、このまま行きます。

 

何か樹脂なのか、それとも単に放置していた汚れなのか

茶色い汚れがバフにベットリと付き(本来は白くなる)、ボンネットもご覧のとおりです。

こんな感じで磨いていきます。

 

はい、磨き終わりました。

みがいたことにより、飛び石や凹みが目立つようになりましたが

取り合えずキズだけフデ指しして、ボンネットは完成です。

続いてルーフです。

 

はい、これも本気で磨けば半日仕事ですが、ブツのみ取って仕上げです。

もっと磨きたくなるんですが、安上げというのは材料費も当然抑えないといけないので

そこそこで切り上げないとダメなんですよね。

そこから先は仕事ではなく、好みというかタダ働きになるんでね。

あ、ちょっと社長が映ってますね。

光り輝いています(゚A゚;)

バンパーはもう、磨きなし。

そのまま付けてしまいます。

 

 

組み付け、洗車をしてバモス完成です。

 

今日はココまで。

お疲れ様でした(`・ω・´)ゞ

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