自動車塗装日記

自動車塗装日記#3  ハイエース(ロング)の塗装

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いちころです。

最近、ホントに寒くなってきましたね。

ウチの工場は風が吹き抜ける作りのため、北風がとても強くて

もう今の時期でも耐えられないくらい寒いです。

そろそろヒートテックなど、防寒着をしっかり着込まないとですね。

ま、この時期からそんなことしてたら、真冬になったらどうすんねん!って感じですどね。

では、今回の作業はコチラ。

はい。ハイエース(ロング)の左側面です。

・・・まぁデカイというか長いですよね。

Twitterでも、ちょくちょく泣き言をつぶやいていた例のクルマです。

これはもう、塗装屋さんなら分かってもらえると思いますけど、

見た瞬間にもう

『あー、嫌や。めんどくさい』

と思うような塗装内容なんですよ。

ざっくりいうと、フロントドア交換、クォーター交換、2トーン(色番070 593)、

で、当然ながら側面塗装です。

しかもトヨタの内製化工場からの仕事のため、チェックがとてもキビシイときています。

これを、喜んではりきって作業しようと思う人がいるかどうかは知りませんけど、

出来れば断ってくれ!と思うような作業です。

で、ウチの工場には塗装が出来る人が3人いるんですが、さぁ誰がやるねん?

となった時、専務が僕に作業内容と納期を言ってくるわけですよ。

 

いち『え?何すか?オレがやるんですか?』

専務『いや、どっちでもいいですよ。1発で上げてくれるなら。』

先輩『オレいやや~。絶対垂らすわ~。いちころくん、広範囲得意やろ?やりー』

いち『え~、やってくださいよー』

先輩『いけるって。やれるって。オレも手伝うやん。』

 

いやいや、手伝うんやったらやってくれや!とも思ったんですが、どうも

嫌なことや難易度の高い仕事は、僕に任せるという風に決まっているみたいですね。

うすうすは気付いてたんですけどね・・・。

決まったからにはもうやるしかありません。納期も決まってるしね。

では、早速作業にかかっていきます。

はい。鈑金作業が終わって、塗装に回ってきた所です。

・・・・・うわ~って感じですね。ホンマにやるん?ってこの期に及んで思ってましたよ。

フロントドアは新品に交換、スライドドアはちょっと擦り傷がイッてる程度だったんですけどね。

外さなくても良かったんですが、鈑金屋さんが取って塗ると思って気を利かせてくれたみたいです。

クォーターはパネルボンドで接着。

後は繋ぎ目と、凹み等を鈑金してサフを塗装しました。

ここで問題・・というか注意してと言われたのが、繋ぎ目のコーキングです。

もうスゴイキレイなんですよ。ここだけ注意してくださいね、と。

色々考えたんですが、とりあえず滑らかにコーキングを付けた後、

サフを盛って研いだろか!ということになり、早速やってみました。

仕上がりから言うとこんな感じになりました。

これは上半分なんですけどね。まぁええやろ?これで勘弁して!という感じです。

専務からのオッケーも出ましたしね。

 

作業の流れとしては、

1,ドアの裏面の塗装(仕上げ)。表面下塗り。

2.フロントドア、スライドドアを組み付け。

3.マスキング後、593(ゴールド)を塗装。

4.070(3コートパール)を塗装。

ということに決めました。

 

2トーンの塗装は、塗装屋によってやり方が色々あります。

上から先に決めて下を塗るとか、ベースだけ先に決めて一気にクリヤーを塗るとか。

それぞれ話を聞いていると、みんな

『こうすればキレイに仕上がるやろ?』

という言葉で締めくくっています。

こうすればキワがキレイに仕上がるとか、失敗しにくいとか、どれもが正解だと思うんですが、

そこはもう、自分のやりやすい方法で行ったらええんちゃうの?と僕は思っています。

どんな方法でも、キレイに仕上がればOKなんでね。そこだけは共通のハズなんで。

 

では作業に戻ります。

ドアはラインの関係もあり、組み付けて塗りたいので、裏面だけはクリヤーまで仕上げて、

表面はベースだけで止めておきます。

もちろん表面はザラザラになりますが、それは研いでOKとするので問題なし。

 

はい、問題なしです。

乾燥後、組み付けて行きます。

フロントのピラーも当たっていたので、ここも組み付ける前に塗装しました。

 

はい。組み付けてもらいました。

Twitterでも泣き言を言っていたのはこれくらいまで来た時でしたね。

スライドを付ける前に、レール内を内板色に塗装、コーキングをして

さぁサフを塗ろうかなと思っていたら、もうスライドが付いていました・・・。(゚Д゚)!

もう仕方がない。後で行くことにします。

下準備終了後、ブースに入れていきます。

 

ウチのブースは積車が入るくらいの広さなんですが、

このクルマを入れると、圧迫感がすごかったですね。やっぱデカイ。

では、脱脂・マスキングをしていきます。

 

まずはゴールドを塗るんですが、じゃあどこまで色を塗るん?となるんですが、

僕的にあまり広範囲には広げたくありません。

人によっては上にマスキングをしなかったり、広めに塗る人もいると思うんですが、

それだとピラーや内板の辺りはどうするん?となるわけですよ。

1枚目の写真がそうですね。

『そんなん、キレイに切ったらいけるやん』

と言われそうですが、ベースが乗ったら当然クリヤーも乗るわけですよ。

『そこは薄くボカシたらエエねん』

・・・それがメンドイねん!と言い返しておきます。一人ツッコミですけど。

 

というのは、キレイに切ったとしても切るところはカドなわけですよ。

もしくはカド付近。

カドはどれだけキレイに隠して塗ったとしても、今度そこを研ぐとなったら

下が出やすくなります。

これは断言できますが、どんなベテランでも例外ではありません。

出たら塗ったらええねんとも言われそうですが、そうなると内板まで塗る羽目になります。

今回はカドで切るのでそれは避けたい。

なので、出来るだけ範囲を小さくするため、本来のラインより5センチほど上にあるラインで

ボカすことにしました。

Twitterで、『ぶった切るんですか?』という質問もありましたが、

流石にそれは・・・。

実際は返しテープを段差で浮かすように貼っています。

ラインで切るわけではなく、段差にかぶる感じですね。経験上、これでラインは出来ません。

では覚悟を決めて塗っていきます。

 

はい、ベースを決めてムラ取りまで行った所です。

隠していて思ってたんですが、こうしてみると塗る範囲は少ないですよね。

こんだけ?みたいな。

気を抜かずに作業を続けます。

フロントドアのラインなんですが、これは直線ではなく

今見えているラインの溝に沿って入ってるんですよね。

だからラインが曲がっています。

なので、この辺りでボカして丁度いい感じですね。

ムラ・ブツ・色ゴミを確認して、問題なかったのでクリヤーを塗装していきます。

 

・・・・まぁ、OKの範囲。

ムラ・色ゴミはなし。とりあえず問題なく仕上がりました。

この日はこれで終了。後日、上半分を塗っていきます。

 

・・・・後日、問題発生。

何の気なしに紙をぺり~っって剥がしていたら、あれ?なんかテープに色が付いてるな?

となり、確認するともう2トーンのお約束ですよね。

・・・はい、キワが剥がれました。

もうね、想定内。想定内だったんですよ。キワが剥がれるかもしれんというのは。

でも、なんかこう・・・ね?マジか!マジでか!みたいになるわけですよ。

例えるなら、磨いてる最中、カドの辺りで『ガリッ』とやって白くなり、

あ~、なんかコンパウンドがこびりついたな~と思って擦ったら剥げとるやんけ!みたいな。

もうね、アロンアルファでくっつけたろか!とか、クリヤーを置いてどうにかならんか?

とかいろいろ考えました。

でも、中古車ならいざしらず、お客さんのクルマでこれはマズイとなり、塗り直すことに。

範囲?もちろんスライド1枚ですよ。ええ、当然ですよ。(´;ω;`)

でも、後も詰まっているし、これだけのために時間をとるわけにはいかないので、

パールを塗装するときに、クリヤーのみ同時に塗ることにしました。

では、マスキング等、下準備をしていきます。

フロントドアのラインのところがブサイクなことになっていますが、

これでなんとか丸めた状態です。

ベースをかける範囲は、ほぼ全体です。コーナーのみボカしますが。

これは、中途半端にボカすより、全体を塗ったほうが違和感がないだろうと判断したためです。

人によっては無駄と言われるかもしれませんね。

上は全く塗る必要はなかったですからね。

では塗装していきます。

 

3コートパールを決め、問題がないか確認してからスライド部分のマスキングを剥がし、

一緒にクリヤーを塗装しました。

こういう壁のような大きなパーツを塗る時、みなさんはどうしていますか?

ドアならどあ、スライドならスライドの、手の届く範囲を広く塗るのが一般的じゃないですか?

以前の僕はそうしていました。

結果として仕上がりは・・・悪くはないんですが、正直はだが一定してはいませんでした。

キレイに乗っているところもあれば、寂しいところもある感じですね。

『確認ができてない』

と言われれば、それは間違いないです。

見ながら塗っていないから、肌にムラが出来るのだと。

正直、広範囲になるとそれがやりにくいんですよね。

小範囲のようにはいかない。

ほな小分けして塗ったらエエやん、となり今の塗り方に変更したわけです。

その塗り方というのは、そのまま小分けして塗っていく方法です。

ドアの上のパネル、ドアの枠、コーナーパネル、ドアも半分ずつ、

スライドは3分割、クォーターも3分割・・・

こんな感じに自分が確実に見れる範囲で小分けしていく訳です。

『そんなことしたら繋ぎ目がザラつくやんけ』

と言われそうですが、断言しますがそうはなりません。

もう一回言っとこう。繋ぎ目はザラつきません。( ー`дー´)キリッ

 

それは、シンナーの選定にあります。

これは気温や湿度によっても変わりますが、基本的に広範囲の塗装の場合、

乾燥の遅めのシンナーを使うことが一般的です。

それをもう少し落とすわけです。

今のこの時期、標準と速乾の比率を例えば50:50とするなら、60:40くらい。

そうして小範囲で肌を見ながら塗装することによって、肌を作り、垂れを防ぎ、

ザラツキを防ぐわけです。

端から端まで一気に行くことは一般的ですが、

自信がない場合は半分ずつでも問題間ありません。

シンナーの選定をしっかり行い、自身を持って塗れる範囲で塗装すれば

トラブルは確実に防げます。

これは何度も実験したので間違いないですね。

パーツの端の溜まり、穴の空いている箇所の溜まりなども防げます。

 

・・・と、こんな塗り方もあるんやなーくらいに思っていてもらえれば。

 

はい、では戻ります。

乾燥後、ラインを確認。

今度は捲ってしまわないように、慎重に剥がしていきました。

 

はー、出来た。ざっと5日位かかりました。

途中、色々とトラブルもありましたが、それもなんとかなり、磨き組付けも終わり、

昨日無事納車しました。土曜日が納期だったんですよね。

 

とにかく大きな仕事が1段落し、とりあえずはホッとしてます。

 

まとめ

今回は、広範囲+2トーン(3コートパール含む)という、

塗装屋なら皆が嫌な顔をするであろうという作業を行いました。

やる前はやはり少々びびっていた所もあったんですが、

やりおわってみると、正直あっけないものでした。

途中、色が剥がれたり、スライドがぶつかって傷が入ったり、

磨いてカドが出たりと色々ありましたが、それもなんとかなり

無事に納期ギリギリで納めることが出来ました。

 

こういった広範囲の作業を終えると、小型のクルマのパーツが

本当に小さく見えて、何か塗りやすくなるんですよね。

それは大型車に乗った後、軽四に乗る感覚のような、ちょっと違うかもしれませんが

そんな感じです。

今日(11・25)は、久々の休み。今回は短いほうで13連勤でした。

世間では3連休の最終日ですよね。

今日だけはちょっと休もうと思います。

 

では今日はここまで。お疲れ様でした。(`・ω・´)ゞ

 

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