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自動車塗装 調色とは?

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町中を走ってるクルマを見ると、

色んな色のクルマが走ってますよね。

赤や青、シルバーやなんかよく分からんキレイな色など。

そういった色というのは、大きく3つに分けられるんですよ。

・ソリッド

・メタリック

・3コートパール

っていうんですけどね、クルマ好きな人ならよく知ってると思います。

これ以外にも何かややこしいのがありますけどね、キャンディとか。

でも、それもこの中に含まれてるんですよね。

 

で、このクルマの色なんですが、

僕たち塗装屋が、どうやって用意しているかご存知ですか?

実際、自動後退(スイマセン)などに行くと、

そのクルマの色のエアゾールやタッチペンが売っているので

『その色番の色があって塗るだけやろ?』

と思ってる人が結構いるんですよね。

知らなかったら、そう思うのも当然なんですけど。

 

僕たちが塗装時に使っている色というのは、

実は1台1台、作っているんです。

このことを調色と言うんですが、

今回はこの調色について説明していこうと思います。

 

調色とは?

クルマの色は、保管場所や年式、型式によって

同じ色番号でも微妙に違っています。

例えば、自分のクルマと同じ色番号の中古パーツを交換・取り付けをしたら

全然色が違っていた!ごっつ黒いやん!

というような経験をしたことがある人もいるんじゃないですかね?

 

調色というのは、この誤差を現車に合わせるように、色を調整することです。

 

実際の僕たちの作業で言えば、鈑金、または交換したパネルを塗装する時、

その色を合わすのに、色のデータを見ます。

チップという色見本があって、色によって複数用意してあり、

モノによっては20種類以上あるものもあります。

 

この中から現車に一番近いものを選び、塗板に塗って比色。

この比色した時に出る色の誤差を調整していくわけです。

 

ただ、この色の調整にはかなりの塗料の知識と経験がいるため、

塗装屋であっても得手不得手があり、

それがそのまま仕事の質になるので、上手い、下手が分かれる所でもあります。

 

色には方向性があるものが多く、

例えばメタリックの青の場合、正面は青いけど、スカシ(斜め)で見ると

少し赤っぽくなっているなど、見る角度によって色が違うモノもあり

こういった色も、ほとんど現車に近いくらい寄せる必要があるので

難易度が高い色も多くあります。

 

特に最近の色はややこしい色が多いため、

塗装屋も頭を悩ませる事が多い・・・・ですよね?

 

昔の色ほど単純でないため、隠蔽性の悪い色、

ムラが出やすい色などもあり、そういった色の特徴を確認することも

調色の重要な作業内容でもあります。

 

塗料の知識

塗料はたくさん種類があり、それぞれの色に特徴があります。

その特徴は、調色の時、微調整する時に顕著に現れ、

例えば黒1色取っても

黄色っぽくなる黒、青っぽくなる黒、赤っぽくなる黒など、3種類あり、

間違えて配合すると、せっかく作った色が

とんでもなく違う方向にズレてしまうこともあります。

 

今の色の状態をよく確認し、どの色を入れるのかを正確に判断して

色を寄せていく。

そういった『見る目』が必要になるので、短時間で合わせるには

かなりの経験が必要です。

 

というのも、各メーカーごとに色の特徴を記してある表があるんですが、

それを見たとしても、結局はどういう感じで色が変化するのかが分からなければ、

入れようがない、入れても寄らない、ということになってきます。

 

例えば、

・ちょっと赤すぎるから、コレを抑えたいけど何を入れるの?

・黄色すぎる。どうしたら消えるんやろ?

・全体的に白くしたい。どの色を入れる?

 

など、これらの色のズレを寄せるにはどの色が最適かを、塗装屋は経験から知っています。

この知識が有るのか無いのかで、調色にかかる時間も大きく変わっていき、

当然完成した塗料の寄り具合も変わってきます。

 

 

完全には合わない

色の知識や何やと色々言ってきましたが、

実は調色しても、完璧に同じ色に合わせるのは無理なんですよね。

9割方合ったとしても、やはり見る角度、場所等によって

色の見え方が変わってきます。

例えば、日向で見た時はよく合っていても、日陰でみたらなんか違う。

朝見たら合っていたのに、夕方見たらズレている。

蛍光灯の下で見たら合っていたのに、外に出したらぜんぜん違う、など。

 

これらは、それぞれ光の波長が違うため、目に映る色が変わってくることが原因で

起こってくる現象です。

どの色を吸収してどの色を反射しているのか。

詳しい説明は省きますが、

日向、日陰、朝・夕、太陽光・蛍光灯など、

すべての光の下で見て、正確に色を完璧に合わせるのは不可能なんですよね。

 

なので、例えばシルバーのドア1枚交換するなら、

その前後のパネルはボカシ塗装をする必要があります。

逆に1枚のみ塗ることをブロック塗装と言うんですが、

メタリック、パール系でこのブロック塗装で正確に色を合わせるのは

不可能です。

 

 

実際の調色はこんな感じ

では実際に調色する場合はどんな感じなのか、

今回はトヨタ8N6 という色を例にとって進めていきますね。

この色は、少し青っぽいガンメタです。

ちょっと汚くて申し訳ないですね。

まずこれが色の配合なんですが、

一番上にグレイッシュブルーMと書いてますね。

コレがこの色の名前になります。(MはメタリックのM)

 

・・・・どうですかね。この色を作るのに、これだけの色が入ってるんですよ。

ざっくり言うと、シルバーが2色に黒、青が2色に赤、紫ですね。

 

今回は400グラム作るんですが、そのすぐ横に書いてある数字。

この量をハカリで量って、カップに正確に入れていくわけです。

 

それをキレイに混ぜれば、色の完成・・・ではないんですね。

この作った色、今の状態のことをデータといい、

要はデータ通りに作った色ということなんですが、

この色を実際に塗ると、よく似ているけどなんか違う色。

ちょっと濃かったり、薄かったり、青っぽかったり赤っぽかったり。

そういう色になるんですよ。

殆どの場合ね。

 

それを現車に合わせることを、上でも書きましたが、色を調整、調節するという意味で

調色と言います。

ではちょっとやっていきますね。

 

現車合わせ

まずはデータでチップに塗るとどういう色になるかというと、

この色の場合はこんな感じです。

ちょっと分かりにくいかもですが、よく見ると

シルバーの目は近いですが、大分黄色っぽく見えると思います。

選んだデータは、色によってマチマチですが数種類あり、

そのなかで1番近い色を選んで作っていくんですが、1番近い色を選んでも

この色は、コレくらいズレています。

 

ココから寄せていきますね。

まず、なぜ黄色っぽくなるかですが、これは400番のディープブラックが

効きすぎています。

この色はざっくりいうと黄色っぽい黒という性質の色なんで、

まずコレをなんとかします。

で、コッチは黄色っぽいんですが、元の色は青、赤。

紫っぽい色です。

この色に寄せるには何を入れるのか・・・。

これが調色の難しいところであり、塗装屋にとって、

腕の差が分かるところでもあります。

 

まず黄色すぎる所ですが、コレを消すのは青を入れます。

厳密には青緑だったり緑青だったりしますが、基本的には

配合されている色の中から選びます。

この中で言うと、664のネビュラブルーか652のプルシアンブルーですね。

実はこの青にも性質があり、664は正面は赤っぽいですがスカシ(斜め)は黄色くなり、

652は正面もスカシも冴えた赤味。

 

もうこっちですね。652。

コレを適量入れて様子見なんですが、赤くなるといっても色は青なので

この色ばっかり入れると、真っ青になってしまいます。

なので赤も入れます。

 

この中で言うと、665クリムズンレッドか626レディッシュバイオレット。

665は正面が赤紫、スカシが冴えた赤、

626は正面、スカシで青赤味。

 

・・・・多分626。

もし正面の赤味が足りなければ、665を足します。

 

ということで、足して入れる色は、652と626。

黄色を消すために青を入れるわけですが、

色自体を青っぽくするという目的もあります。

でも、反対色を入れると色自体がグレーっぽく濁ってしまうため

ベースである109と842を気持ちだけ足します。

 

では、この色を混ぜて、前の色とどれくらい変わったのかを比べてみると・・

 

ちょっと近いな。

分かりにくいですが、8割方寄りましたね。

ただ、離れてみるとちょっと薄い感じです。

シルバーを足さなかったら、もうちょっと黒っぽく寄ってたかもですね。

 

このクルマの修理はボカシ塗装を行うので、コレぐらい寄ればOK。

こういったシルバー系の色は、ボカシ際が黒くなるので

すこし薄いくらいがちょうどいいので、そういった意味でもOKです。

 

まとめ

ざっと紹介しましたが、これが調色の1例です。

上でも書きましたけど、

クルマの色は、同じ色番であっても1台1台色が微妙に違います。

それは、年式だったり型式だったり、または車種の違いだったり

いろいろな理由があります。

修理する時、その色の誤差を調整するのが調色で、

1台ずつ、時間をかけて作ってるんですよね。

この作業は簡単なようで実は難しく、

色によっては1~2時間かかる場合もよくあって、

本当に手間のかかる作業です。

 

なので、市販のエアゾールの色が現車に合わないのも当然なんですよね。

調色してないわけですからね。

 

以上、調色の紹介でした。

 

 

 

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